ゆたかさキャラバン@福岡 ペコッたお腹にPECOFREE! と対談企画

イベントの前半では、当社のチーフリスナーである仲木と、株式会社PECOFREE 代表取締役の川浪達雄さんによる対談形式で、PECOFREEがどのようなサービスを展開する会社なのか、企業紹介を行いました。川浪さんは飲食店や給食の製造を行う企業で経験を積まれた後、2021年2月に株式会社PECOFREEを創業されました。

株式会社PECOFREEは主に高校向けの宅配給食を手掛ける企業です。学校に通う生徒はPECOFREEが提供する専用のアプリ―ケーションを通じて、その日食べたいお弁当(宅配給食)を注文します。すると、注文内容が給食の製造を行う企業へ伝達され、お弁当が作られます。お昼の時間になると、作られたお弁当が学校へと届き、生徒がそのお弁当を受け取れる仕組みになっています。

提供されるお弁当は、学生が望むボリュームや、必要な栄養バランスを満たせるよう作られており、さらに1日3種類、ひと月で60種類以上のレパートリーを用意し、「選べる給食」を提供できるよう工夫されているそうです。

コロナ禍で生まれたPECOFREEの事業

続いてのパートでは、当社の株式戦略部に所属するアナリスト兼ファンドマネージャーの大城と松本が参加し、PECOFREEの事業についてより深く知るべく、アナリストが普段行っている取材を再現した鼎談が行われました。大城と松本は、まだ世間に知られておらず、今後大きな成長が望まれる企業を発見するべく、日々、企業調査に励んでいます。実際に取材する企業数は、年間100社以上にのぼります。あまりの質問の量と鋭さに、川浪さんは「うちのサービスを丸裸にされる!」と驚いていました。

まず初めに、大城と松本はなぜPECOFREEの事業を始めるに至ったのか、川浪さんへ問いかけました。川浪さんはもともと飲食店で働いていましたが、より多くの人へ食事を届けたいとの思いから産業給食の製造を行う企業へ移りました。そこでの経験が現在の事業に大きく活かされているそうです。

日本の学校給食は味が美味しいのはもちろんのこと、栄養バランスも考えられており、世界的に見てもとても高い水準にあります。しかしながら、小学校や中学校ではそういった給食が提供される一方で、高校においては給食の提供はほとんどありません。食堂がある高校も一定数ありますが、多くの高校では軽食程度が購入できる売店があるのみで、家庭で作ったお弁当やコンビニで購入したものをお昼ごはんに食べる場合が多いです。学生が学校に出発する前の、朝早い時間にお弁当を作ることは保護者にとって大きな負担になり、コンビニ食は栄養面で偏りがあります。実際に、川浪さんが給食の製造業者で働いていたころ、家で自分の子どものためにお弁当を作り、その後に出勤して給食づくりに励んでいる社員の方がいたそうで、そういった様子をみて、高校生に向けて給食を提供するサービスをつくることはできないか、と考えるようになったそうです。高校生やその保護者の方々にとって、「給食があったらいいな」というニーズはずっと存在していたのです。

また、給食を提供する製造業者にも大きな問題がありました。少子高齢化や物価高の影響で、収益性が減少していたのです。学校給食はあらかじめ値段が決められている場合が多く、物価上昇で材料費が高騰しても、値段を上げることができません。また、給食や学食を販売することができるのは、お昼休みの短い時間だけです。さらに、少子高齢化により生徒数が減少していくため、給食や学食の長期的な需要も減少していきます。その上、直近の出来事として、コロナ禍による学校閉鎖やリモートワークの普及で、給食や法人食も大きく減少しました。こういった状況が重なった結果、給食事業から撤退したり、倒産したりする給食業者も出てくるようになりました。この動きが続けば、学生や保護者の「食」へのニーズを満たす方法はより限られていきます。川浪さんは給食業者の収益拡大に貢献し、何とか給食事業からの撤退を防ぐことはできないか、と考えるようになったそうです。

そして、上記のような学生や保護者の「食」へ需要を満たし、給食業者の課題を目指す事業として、PECOFREEが生まれました。PECOFREEは、栄養バランスのとれた給食を望む学生や保護者のニーズと、事業の収益性拡大を望む給食業者とを結びつける、プラットフォームの役割をしているのです。PECOFREEは給食業者に支払われる給食代金の一部を利用として受け取り、収益を上げています。

川浪さんがPECOFREEを立ち上げる直接のきっかけとなった出来事はコロナ禍の社会の変化でした。コロナ禍による給食や法人食の需要減少により、給食事業から撤退する業者が増えていきました。また、コロナ禍によりリモートでの授業や勤務の増加で、多くの人がコロナ以前よりモバイル機器の利用に慣れたことで、学校給食の場でもITを利用したサービスが展開できるのではないか、とも考えたそうです。確かにコロナ禍で、UberEATSなどの宅配業者を利用する機会は増えたのではないでしょうか。

川浪さんはこういった社会の変化を敏感に捉え、今後、給食事業が縮小されていくことを予想し、この問題を解決するべく新たな事業を考えていきました。つまり、川浪さんは現在のニーズを捉えるだけでなく、未来のニーズまで予想し、PECOFREEを立ち上げました。この将来視点での考え方と、実際に事業を実現する行動力に当社の大城と松本も驚いていました。

学生をインフルエンサーにする?

次に大城と松本は現在の事業の状況や、今後の展望について質問しました。学校側にとって高校給食のニーズはあるのか、という問いに川浪さんは、今後、学食事業から撤退する業者が増えていくと、学校側も食を提供する機会が減少し困るのではないか、と答えました。

さらに、PECOFREEのマーケティングの一環として、学生をインフルエンサーにする、という工夫を行っているそうです。実際にPECOFREEを利用した学生にお気に入りのお弁当を紹介してもらう、あるいは、学生にメニューを考えてもらい商品化するなど、学生にPECOFREEの広告塔になってもらうのです。こういった試みは、学生にとっても実践的な教育の機会となり、学校のブランディングにも繋がります。この話に松本も「ユーザー側に宣伝してもらう企業はなかなか聞いたことがない」と感心していました。

また、仲木からは給食を作るうえで欠かせない食材を提供する、農家や水産業者などの一次産業についてどのように考えているか、問いを投げかけました。給食事業から撤退する業者が増えると、その分、一次産業の業者への受注量も減少するため、仕入れ先の一次産業業者にも影響が出てしまうのです。川浪さんはPECOFREEの事業を通じて給食業者を救うことで、間接的に一次産業にも貢献できると考えているそうです。

イベント当日、会場で参加していた、当社の代表取締役副社長(COO)の湯浅からは食の未来についてどのように考えているか問いかけました。これに対し、川浪さんは現在の事業を拡大していくことで、いつか地球規模の食の問題を解決したいと意欲を語ってくれました。食糧危機などの世界中の食の問題は存在しますが、PECOFREEの事業を進め、得た技術や知見を用いて大きな問題を解決できるようになりたい、と大きなビジョンについても熱く話してくださいました。

当日会場に参加されたお客様からも多くの質問がよせられ、川浪さんは一つひとつ、熱心に答えられていました。福岡発の食の企業、社会課題解決に熱心に取り組む企業としてお客様にも高い関心を持っていただいたようでした。

「食」で目指すゆたかな未来

アナリストとの鼎談を通して、川浪さんやPECOFREEが考える未来が見えてきたように思えます。PECOFREEの事業は、学生や保護者の食のニーズに答えるだけでなく、給食業者や一次産業の収益や、学校の教育活動などに貢献しています。川浪さんはPECOFREEの事業を通して、関係する様々な立場の人々を巻き込み、"「食」による地域経済の活性化"を目指しているそうです。

当社レオス・キャピタルワークスは「資本市場を通じて社会に貢献します」という経営理念を掲げ、投資を通じてゆたかさの循環を生み出すとともに、ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)を通じて、金融サービスの恩恵を全ての人々が享受できる世の中を目指します。共にゆたかな未来を目指す、当社商品を購入いただいた方々や投資先の企業、販売パートナーの皆さまなどをつなぐ、「次のゆたかさの、まんなか」になることを目指しています。

PECOFREEと当社、「食」と「金融」で活動する分野は違いますが、根底にある理念は共感できる部分が多いのではないでしょうか。PECOFREEは、「食」のフィールドで様々な企業と、利用者の皆さまを繋ぎ、全ての人が「ゆたかさ」を享受できる社会を目指しているように思えます。今回、イベントを通してPECOFREEの熱い思いに触れ、明るい「食」の未来をつくり上げていってくれるのではないかと、とてもワクワクしました。

ゆたかさキャラバンでは、今後も日本全国を訪問し、地域の魅力や「ゆたかさ」について考える機会を設けてまいります。身近にある多様な「ゆたかさ」や、地域の企業、事業家の方々がもつ熱い思いに接し、共にゆたかな未来を目指すきっかけとなれば幸いです。お近くの地域で開催の際は、ぜひご参加ください!

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